DXの加速やレガシーシステムの問題などにより、多くの企業がITシステムへの移行を検討しています。本記事では、マイグレーションの概念から、IaaSクラウドへの移行がもたらすメリットや、具体的な手順・直面する可能性のある課題まで詳しく解説します。
オンプレミスからIaaSへの移行をスムーズにおこない、クラウド化の効果を最大限に得たい方は、ぜひ、最後まで記事をご覧ください。

マイグレーションとは

マイグレーションは、簡単にいうとデータやシステムを新しい環境に移行することです。一般的には「移動・移転」などと訳されますが、IT分野においては特定の意味を持ちます。
たとえば、ビジネスにおけるマイグレーションは次のとおりです。

  • 既存のシステムやソフトウェアを新しい環境に移行する
  • ハードウェア・ソフトウェアを新しいバージョンにアップグレードする
  • データを新しいプラットフォームや保存形式に移動する
  • オンプレミス環境からクラウド環境へシステムやデータを移行する
  • 老朽化したシステム(レガシーシステム)を新しいシステムに移行する

また、マイグレーションの目的は次のとおりです。

  • 老朽化やサポート終了への対応
  • データの安全な保管
  • セキュリティリスクの軽減
  • 業務効率化
  • 運用やメンテナンスなどのコスト削減

マイグレーションは、単なるデータやシステムの移行にとどまらず、企業の成長戦略に関連する重要な取り組みです。

マイグレーションと似た概念として「リプレース」や「コンバージョン」があります。
これらの違いについては、次項で詳しく解説します。

リプレースとの違い

リプレースとは、システムやサーバー・ソフトウェアを新しいものに置き換えることをいいます。マイグレーションとの主な違いは次のとおりです。

マイグレーション
  • 現在のシステムを別の環境に移行する
  • プラットフォーム基盤も刷新される
リプレース
  • 現在のシステムを新しいものと入れ替える
  • 一般的にOSやプラットフォームに変更はない

つまり、現在の基盤はそのままに新しいシステムを利用するのがリプレース、現在のシステムを新しい環境で利用するのがマイグレーションとなります。

コンバージョンとの違い

コンバージョンは、データやファイルの形式を別の形式に変換する作業のことをいいます。マイグレーションとの主な違いは次のとおりです。

マイグレーション
  • 現在のシステムそのものを別の環境に移行する
  • プラットフォームやOSを変更する目的でおこなう
コンバージョン
  • データやファイルを別の形式に変換する
  • データやファイルに互換性を持たせたり、別のシステムで利用したりするためにおこなう

つまり、マイグレーションが新しい環境へ移行するのに対して、コンバージョンは狭い範囲(一部のデータやファイル)の変換を意味します。

マイグレーションの種類と手法

マイグレーションは、主に次の2種類に分けられます。

クラウドマイグレーション

オンプレミス環境からクラウド環境へシステム全体を移行することを指します。これには、サーバー・データ・アプリケーションの移行が含まれます。

データマイグレーション

データマイグレーションは、クラウドマイグレーションのなかでもデータの移行に特化したプロセスです。既存のデータを新しい環境や形式に移行することが主な目的となります。

次項にて、マイグレーションの種類について詳しく解説します。

マイグレーションの種類

マイグレーションの種類を、7つ紹介します。

  • レガシーマイグレーション
  • ライブマイグレーション(ホットマイグレーション)
  • クイックマイグレーション(コールドマイグレーション)
  • クラウドマイグレーション
  • アプリケーションマイグレーション
  • サーバーマイグレーション
  • データマイグレーション

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

レガシーマイグレーション

老朽化やブラックボックス化したシステム(レガシーシステム)を、新しいシステムに移行するのがレガシーマイグレーションです。レガシーシステムを移行することにより、システムの保守性や拡張性が向上し、新しいビジネス要件に対応できるようになります。
なお、レガシーマイグレーションはレガシーシステム全体を移行することを指し、データのみの移行はデータマイグレーションになります。

ライブマイグレーション(ホットマイグレーション)

仮想マシンを稼働させたまま、別の物理サーバーに移行するのがライブマイグレーション(ホットマイグレーション)です。サービスを停止せずに移行できるため、ダウンタイムを最小限に抑えられます。主にクラウド環境や仮想環境で使用され、システムの可用性を高めるのに役立ちます。

クイックマイグレーション(コールドマイグレーション)

仮想マシンを一時停止して別のホストに移行するのがクイックマイグレーションです。システムを稼働したまま移行するライブマイグレーションに対して、コールドマイグレーションとも呼ばれます。システムの一時的な停止(数十秒から数分)が許容される場合に使用されます。
また、一時的に停止したシステムは再起動やシャットダウンをしなくても再開します。

仮想化や仮想マシンについて詳しくはこちら

クラウドマイグレーション

オンプレミス環境からクラウド環境へシステム全体を移行するのがクラウドマイグレーションです。サーバーやアプリケーションなど、すべてのITリソースがクラウドに移行されます。オンプレミス環境からクラウド環境への移行は、コスト削減やスケーラビリティの向上などさまざまなメリットがあります。

アプリケーションマイグレーション

既存のアプリケーションを新しい環境や技術に移行することをアプリケーションマイグレーションといいます。移行時には、データ形式を新しいシステムで利用できるように変換したり、互換性を持たせたりする必要があります。

アプリケーションマイグレーションはクラウドマイグレーションの一部としておこなわれることも多く、アプリケーションの最適化が目的です。

サーバーマイグレーション

物理サーバーや仮想サーバーを新しい環境に移行するのがサーバーマイグレーションです。サーバーマイグレーションは、システム全体を移行するマイグレーションとは異なり、サーバーのみ移行します。
サーバーマイグレーションは、サーバーの再構築の必要がありません。そのため、移行中も使い続けられるのもメリットのひとつです。

サーバーマイグレーションは、システムの老朽化やデータ容量がひっ迫している、セキュリティを強化したいなどの理由で実施されます。

データマイグレーション

既存のデータを新しい環境や形式に移行するのがデータマイグレーションです。クラウドマイグレーションの一部としておこなわれることが多く、データの整合性や安全性を確保しながら、新しいシステムでデータを利用できるようにすることが目的です。データ形式の変換や最適化も、データマイグレーションに含まれることがあります。

マイグレーションの手法

レガシーマイグレーションは、古いシステムを新しい環境に移行するための重要なプロセスです。
主な手法は、リホスト・リライト・リビルド(リエンジニアリング)があり、企業はシステムの状況や予算・目的に合わせて手法を選択します。

マイグレーションの種類 概要
リホスト
  • リホストは「そのまま移行する」ことで、システムのコードをほとんど変更せずに新しいハードウェアやクラウド環境に移行する
  • マイグレーションの第一工程として実行される場合もある
リライト
  • リライトは「書き直し」の意味があり、既存システムの機能を維持しつつ、新しいプログラミング言語や技術を用いてコードを書き直す
  • リビルドと比較して短時間かつ低コストで実行可能だが、自由度は低い
リビルド
(リエンジニアリング)
  • リビルドは「再構築」の意味があり、システムを再設計し、最新の技術や構成を用いて再構築する
  • 柔軟で将来性があるが、コストと時間がかかる

IaaSクラウドへのマイグレーションがもたらすメリット

IaaSクラウドへのマイグレーションがもたらすメリットを4つ紹介します。

  • コストを削減できる
  • 柔軟性が向上する
  • 運用・保守にかかる負担を軽減できる
  • 社外からアクセスできるようになる

以下では、それぞれについて解説します。

コストを削減できる

IaaSクラウドへのマイグレーションによって、主に次のようなコストの削減が可能です。

初期費用 物理的なサーバーやネットワーク機器の購入が不要となり、高額な初期費用を削減できる。
運用コスト 必要なときに必要な分だけリソースを利用しその分のみ支払う従量課金制を採用しているため、コストの無駄を削減できる。
保守およびメンテナンス料 ハードウェアの保守やアップデート、セキュリティ対策などをクラウド事業者が担当するため、これらにかかる費用や人的リソースを削減できる。

IaaSクラウドへのマイグレーションにより、さまざまなコスト削減が可能になります。ただし、自社の状況によってはオンプレミスのほうが効率よく運用できる場合もあるため、慎重な検討が必要です。

柔軟性が向上する

IaaSクラウドへのマイグレーションによって、柔軟性の向上が期待できます。その理由は次のとおりです。

サーバー増強が容易 クラウド環境では、CPUやメモリ・ストレージなどのリソースを、状況に応じて即座に拡張できる。
システム変更の柔軟性 新しいサービスや機能を、必要に応じて追加・削除できる。
負荷分散の自動化 クラウドサービスでは自動スケーリングを提供していることが多いため、トラフィックの増減に応じて自動的にリソースを調整して効率よく負荷を分散できる。

IaaSクラウドへ移行し柔軟性が向上すると、主にコスト面で大きなメリットをもたらします。
需要に応じたリソースの調整や従量課金制を利用することで過剰投資を避け、実際に使用した分だけの料金を支払うことが可能になるからです。この仕組みにより、企業は効率的なリソース管理とコスト削減を同時に実現できます。

運用・保守にかかる負担を軽減できる

IaaSクラウドへの移行により、運用・保守にかかる負担を大幅に軽減できます。主なものは次のとおりです。

ハードウェア管理負担の軽減 物理的な機器の障害対応や更新などをクラウドサービスのベンダーが担当することになり、ハードウェア管理の負担が軽減する。
運用負荷の削減 システムの安定性確保やセキュリティ強化をクラウドサービスのベンダーが管理することになるので、運用に関する負荷を削減できる。
人的負担の軽減 システムの運用や保守をクラウドサービスのベンダーに任せられるので、管理する人員を削減できる。

IaaSクラウドへのマイグレーションは、大企業はもちろんIT人材が限られている中小企業にとっても大きなメリットになるといえるでしょう。

社外からアクセスできるようになる

IaaSクラウドへのマイグレーションによって、社外からアクセスが容易になります。IaaSはインターネット経由で接続されるため、インターネット環境が整っていれば、場所や時間を問わずにアクセスできるようになるからです。このことにより、リモートワークをはじめとした多様化する働き方にも対応できるようになります。また、災害が発生したときのビジネスの継続性も向上します。

ただし、クラウド上にシステムを構築することはセキュリティリスクが高まります。そのため、多要素認証やVPNの利用、アクセス権限の厳格な管理など、万全なセキュリティ対策が必要です。
セキュリティ面への配慮を十分におこなうことにより、利便性と安全性が高まります。

IaaSクラウドへのマイグレーション手順

IaaSクラウドへのマイグレーション手順は次のとおりです。

  1. 目標を設定する
  2. IT資産を整理する
  3. 移行計画を作成する
  4. 作業内容と担当者を整理する
  5. システムを移行して動作を確認する

それぞれの手順のポイントも解説していますので、ぜひ参考にしてください。

1.目標を設定する

IaaSクラウドへのマイグレーションにおいて、目標設定は非常に重要です。マイグレーションは自社の抱える問題を解決するために実施されます。明確な目標を設定することでマイグレーションの方向性が定まり、プロジェクト全体の成功につながります。また、マイグレーションにより問題が発生した場合でも、軌道修正や問題解決がスムーズに進みます。
目標設定は、次のようにおこなうとよいでしょう。

目標設定の一例

  • ITインフラにコストがかかりすぎているため、3年以内にITインフラ関連コストを30%削減する
  • システムをクラウド化し、多様化する働き方に対応する

2.IT資産を整理する

IaaSクラウドへのマイグレーションの手順として、目標節制とともに重要なのがIT(情報)資産の整理です。現在の資産の状況が把握できていないと、目標設定を正しく設定してもマイグレーションが失敗するおそれがあります。
IT資産の整理は、次のようなことに注意しておこないましょう。

IT資産を整理するときのポイント・注意点

  • ハードウェア・ソフトウェア・データの詳細な棚卸しをする
  • 利用頻度や重要度の評価をおこなう
  • 現在使用しているアプリケーションと、その連携について把握する
  • 現在使用しているシステムがクラウドでも利用できるか確認する
  • セキュリティ要件の洗い出しをおこなう

また、社内の状況によってはオンプレミスが適している場合もあります。クラウド化が本当に必要なのかも含めて検討しましょう。

3.移行計画を作成する

目標設定やIT資産の整理が完了したら、計画書を作成しましょう。計画により、予算や時間の管理や予期せぬ問題への対応など、マイグレーションに必要な要素も可視化されます。そのため、リスクを最小限に抑えながら効率的な移行が可能になるのです。
移行計画は、次を注意しながら作成しましょう。

  • 移行対象の選定と優先順位付け
  • 移行方法の決定(リホスト・リファクタリングなど)
  • スケジュールの策定
  • 必要なリソースと予算の見積もり
  • リスク評価と対策の立案
  • テストと検証の計画
  • 運用体制の検討

4.作業内容と担当者を整理する

移行計画を作成したら、作業内容を整理し担当者を振り分けましょう。整理や振り分けをおこなうと効率的な作業分担が可能になり、プロジェクトの進捗管理が容易になります。また、潜在的な問題点の早期発見や、チーム全体の協力体制の構築にも役立ちます。
作業内容と担当者の整理は定期的に見直し、必要に応じて調整することも重要です。

5.システムを移行して動作を確認する

IaaSクラウドへのマイグレーションの事前準備が完了したら、いよいよシステムを移行します。移行後は動作を確認して正常に稼働するか確認することも重要です。
移行および動作確認は、次の手順で実施するとよいでしょう。

1.テスト環境での確認

本番環境への移行前に、テスト環境でシステムの動作を検証します。潜在的な問題を事前に発見し、本番に向けた修正が可能です。

2.段階的な移行

可能な限りシステムを段階的に移行し、各段階で動作を確認しましょう。これにより、リスクを最小限に抑えられます。

3.本番環境での確認

クラウドへの移行作業完了後、本番環境ですべての機能が正常に動作するか確認しましょう。パフォーマンスやセキュリティ、データの整合性などを重点的にチェックします。

4.旧環境の解約

新環境が安定して稼働していることを確認したあとに不要になったサービスを解約します。ただし、一定期間の並行運用基幹を設け、不測の事態に備えるのが賢明です。

この手順により、ビジネスの継続性を確保しながら安全かつ確実なシステム移行が可能になります。

IaaSクラウドへのマイグレーションで発生しうる課題

IaaSクラウドへのマイグレーションで起こる課題は、主に4つあります。

  • クラウド運用できる人材がいない
  • 既存システムと連携できない
  • データを損失してしまう
  • 情報漏洩やデータの改ざんが起こる

それぞれの課題の原因や対策について詳しく説明しますので、ぜひ参考にしてください。

クラウド運用できる人材がいない

クラウド運用できる人材不足は、多くの企業が直面する問題です。この問題の主な理由は、クラウド技術の急速な進化と従来のIT運用との違いにあります。オンプレミス環境とクラウド環境では必要な知識や技術が異なるため、現在の担当者が対応できないケースも考えられるのです。

クラウド運用できる人材がいない状態でマイグレーションを進めてしまうと、余計なコストがかかったり、業務効率の低下を招いたりするおそれがあります。

対策

クラウド運用できる人材が社内に不足している場合には、クラウド運用を外注するのも選択肢のひとつとしてあげられます。クラウド運用を外注することによる主なメリットは次のとおりです。

  • 専門的なスキルと経験の活用
  • 最新のクラウド技術への迅速な対応
  • 24時間365日の運用サポート

ただし、クラウド運用の外注については、コストがかかる・社内のノウハウが流出するリスクがあるなどのデメリットもあります。そのため、導入時には自社に適しているか十分な検討が必要です。

既存システムと連携できない

オンプレミス環境からIaaSクラウドへ移行する際に、構造の違いやデータ形式の非互換などにより、既存システムと連携できない問題が発生することもあります。たとえば、クラウドに移行したデータが使用できず、データ変換やデータクレンジングに予想外の手間や時間がかかるケースです。

さらに、システム全体のパフォーマンスの低下や、業務プロセスの中断や非効率化が発生するおそれあります。そのため、自社のシステムがクラウドに適しているかどうか十分な検討が必要です。

対策

既存システムとの連携に関する問題は、現在の自社のシステムがクラウドに適しているか事前に検討することで対策可能です。自社のシステムが対応しているクラウドであれば、移行後も問題なく現システムが使用できます。
近年では、連携できるサービスは増加傾向にあるので、ベンダーに相談してみるとよいでしょう。

データを損失してしまう

IaaSクラウドへの移行時にデータを損失してしまうことがあります。例えば、クラウド移行にあたり大量のデータを扱うため、なんらかの理由で破損や紛失などが生じてしまうのです。
紛失はもちろん、破損したデータも展開できなくなるため、データ移行は慎重におこなわなければなりません。

対策

データ損失による業務停止や取引先からの信頼低下などのリスクを避けるためには、データ移行前のバックアップが欠かせません。クラウドへの移行時にデータを損失しても、元のデータがあれば復旧できる可能性が高まります。

また、マルチクラウド(複数のクラウドサービスを同時に使用すること)を採用していた場合、ひとつのサーバーでダウンタイムが発生しても、ほかのサーバーに保存したデータを活用して滞りのない業務が行えます。

情報漏洩やデータの改ざんが起こる

IaaSクラウドへのマイグレーションをおこなうときに、設定ミスや暗号化の不備など、さまざまな理由で情報漏洩やデータの改ざんが起こるリスクがあります。IaaSクラウドの最大のセキュリティリスクは「常にインターネットに接続されていること」です。このことにより、オンプレミス環境よりも不正にアクセスされやすい状況が発生します。

IaaSクラウドは、業務効率化やテレワークへの適応などさまざまなメリットがありますが、十分なセキュリティ対策を実施しなければなりません。

対策

常にインターネットに接続されているIaaSクラウドは、厳重なセキュリティ体制が必要になります。
主なものは、次のとおりです。

  • クラウド上でのシステム設計において、データを保存・処理するサーバーはインターネットから直接アクセスできないネットワーク上に隔離する
  • 強力な認証システムの導入:多要素認証を実装し、アクセス管理を厳格化する
  • データの暗号化:保存データと通信データの両方を適切に暗号する
  • 不正アクセス対策ツールやシステムの導入:異常なアクティビティを検知するシステムを導入し、常時監視する
  • 従業員教育:セキュリティ意識向上のための定期的なトレーニングを実施する

これらの対策を組み合わせることにより、クラウド環境のセキュリティを強化できます。

IaaSクラウドへのマイグレーションに成功した事例

IaaSクラウドへのマイグレーションに成功した事例を紹介します。

  • 海外のクラウドサーバーから移行した事例
  • 専用サーバーから移行した事例
  • オンプレミス環境から移行した事例

マイグレーションを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

海外のクラウドサーバーから移行した事例

スパイラル株式会社 VOTE FORカンパニーは、海外サーバーを利用して自治体広報誌プラットフォーム「マイ広報誌」を運営していました。海外サーバーは為替変動と円安によるコスト増大のリスクがあります。また、月額料金の変動が激しいことも課題のひとつです。
そこで、これらの問題を解決するために、スパイラル株式会社は海外サーバーから「さくらのクラウド」への移行を決定しました。

「さくらのクラウド」への移行後は、パフォーマンスを維持しながら32%のコスト削減を実施し、セキュリティと安定性も向上しました。また、円払いのため月額料金が固定したことも魅力のひとつとしてあげられます。

スパイラル株式会社 VOTE FORカンパニーでは、ほかのサービスについてもさくらのクラウドの利用を検討しています。

【関連記事】コスト増の海外クラウドサーバーからの移行でパフォーマンスは変わらず32%コストダウン!

専用サーバーから移行した事例

地図管理システムを用いた施設維持管理事業を展開しているパシフィックリプロサービス株式会社では、以前は専用サーバーでシステムを運用していました。しかし、システムの安心感への不安・インターフェースの使いづらさ・レスポンス時間のタイムラグの課題があり、使用していたサーバーのサポート終了のタイミングで新たなサーバーを検討しました。そのなかで、信頼性があり運用にも問題がないと判断し「さくらのクラウド」を選択しています。

専用サーバーから「さくらのクラウド」への移行したため、はじめは戸惑いもあったと担当者はいいます。しかし、使用していくうちに、充実したユーザーインターフェースは使いやすいと感じるようになったとのことです。さらに、サーバー提供や手続きの迅速化によりタイムラグが低減され、顧客への対応が容易になりました。

パシフィックリプロサービス株式会社では、「さくらのクラウド」を活用し、今後は施設管理事業の拡充や災害など、施設管理以外の分野への進出も検討しています。

【関連記事】さくらのクラウドへ移行して地図管理システムの安心感を獲得

オンプレミス環境から移行した事例

国立遺伝学研究所では、所内の仮想基盤でWebサイトを運用していたときに、立て続けに起こったディスク障害が原因でデータ消失が発生しています。
オンプレミス環境で運用していたときには、次のような課題がありました。

  • 老朽化した仮想基盤の更新
  • SINET5との接続環境整備
  • IPアドレスやドメインの継続性確保
  • 費用・運用コストの低減

これらの課題解決のためSINET5に接続できる国内データセンターを検討し、「さくらのクラウド」を選択したそうです。

「さくらのクラウド」へ移行後、メンテナンスが容易になり、停電対策が不要となりました。また、自機関のIPアドレスゾーンでのサービス提供が可能となり、コスト削減と将来的な規模の柔軟な変更が実現しています。
さらに、「さくらのクラウド」を活用することにより、効率のよいセキュリティ対策業務ができるようになりました。

【関連記事】オンプレミス仮想基盤での障害をきっかけにSINET5に接続可能なクラウドサービスに移行

自社に合うIaaSクラウドサービスの選び方と移行後のシステム運用について

IaaSクラウドサービスの選び方

自社に合うIaaSサービスは、次のことを踏まえて選ぶとよいでしょう。

料金

サービスの料金体系を確認し、従量課金制や固定料金制など自社の使用状況に合ったプランを選びましょう。初期費用やランニングコスト・追加リソースの費用も考慮し、総コストが予算内に収まるかを確認します。無料トライアルや割引キャンペーンなどを活用するとコストパフォーマンスを高められます。

セキュリティ対策

提供されるセキュリティ機能を確認し、データ暗号化・多要素認証・DDoS対策など、自社に必要な対策が含まれているか確認しましょう。また、クラウドプロバイダーのセキュリティ認証(ISO 27001やSOC 2など)をチェックし、自社のセキュリティ基準と合致しているかも合わせて確認します。サポート体制やセキュリティ監視サービスの有無も重要な選定基準です。

操作性

管理コンソールの使いやすさや操作性を確認し、担当者がスムーズに運用できるかを評価します。直感的なインターフェースや充実したサポート体制が整っていることも重要です。また、APIの提供状況やほかのシステムとの連携の容易さも考慮し、自社の運用スタイルに適しているかを判断します。

IaaSクラウドへ移行した後のシステム運用

IaaSクラウドへの移行後、システムの円滑な運用を確保するために必要な2つのことについて紹介します。

  • クラウド環境の監視方法
  • トラブル発生時の対応

これらの方法を理解し適切に実施することで、システムの安定性を維持しながら業務効率が高まります。

クラウド環境の監視方法

オンプレミス環境からクラウド環境への移行に伴い、監視体制は大きく変化します。たとえば、ハードウェア監視の必要性が減少し、サービスの正常性やパフォーマンス監視に重点が置かれるようになります。動的に変化する環境に対応するため、柔軟な監視設定が求められるのです。

また、ログ監視には制限が生じる可能性があり、従来の詳細分析が困難になる場合もあります。これらの変化に対応するため、クラウド対応の監視ツールや自動監視サービスの活用が有効です。

オンプレミス環境からクラウド環境へ移行することでハードウェア故障の心配が不要になり、監視設計の最適化が容易になります。ただし、効率的な監視体制の構築や外部ツールを活用するなど、新たな課題への対応も必要です。

トラブル発生時の対応

IaaSクラウドへ移行した後に、トラブルが発生することも考えられます。そのときには、次のような手順で対応しましょう。

  1. システムの構成要素を理解し、問題の発生箇所を特定する
  2. エラーメッセージやログの詳細な分析、正常環境との比較をする
  3. ネットワークの疎通性検証、プロセスやリソース使用状況の調査も実施する
  4. 問題の発生条件を見極め、想定される原因に対してひとつずつ検証と対策を実施する

トラブル対応は、クラウド特有の環境変化に注意し、ベンダーが提供するモニタリングツールも活用しながら実施するとよいでしょう。
それでも解決しない場合は、デバッガの使用やソースコード解析も検討します。

まとめ

マイグレーションとは、システムやデータを新しい環境に移行するプロセスです。IaaSクラウドへの移行は、コスト削減や柔軟性向上、運用負担軽減などの大きなメリットをもたらします。しかし、適切な計画と実行が不可欠であり、人材不足や既存システムとの連携、セキュリティなどの課題にも対策が必要です。

マイグレーション移行手順には、目標設定・IT資産の整理・移行計画の作成などが含まれます。移行時にはクラウド運用人材の不足や既存システムとの連携問題・データ損失リスクなどの課題があるため、移行は慎重におこなわなければなりません。

適切なマイグレーションを実施することにより、効率的で安全なクラウド利用が実現します。

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社内システムをオンプレミス環境からクラウドへの移行を考えている方へ

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構成・執筆・編集

さくらのクラウドチーム

コラムでは、さくらのクラウドに関連するビジネス向けの内容や、ITインフラ技術の説明などを掲載しています。

2024年10月公開