クラウド連携とは?メリット・進め方・連携方法・導入時の注意点を解説

DXへの取り組みが広がるにつれ、複数のクラウドサービスを併用する企業も増えてきました。しかし、複数のシステムを使い始めた結果、データの分散や手作業での転記といった新たな課題も生じています。こうした課題を解決する手段として注目されているのが「クラウド連携」です。
本記事では、クラウド連携の基本的な仕組みから、導入のメリット・注意点まで幅広く解説します。
- クラウド連携とは
- クラウド連携がなぜ求められるのか
- メリットと検討する際のポイントと導入における注意点
- クラウド連携とは
- クラウド連携の基本パターン
- なぜいまクラウド連携が求められるのか
- DXの進展
- オンプレミスとの併用
- マルチクラウド構成における運用の複雑化
- クラウド連携のメリット
- 業務の効率化
- データ活用の高度化
- 全社的な情報共有の強化
- クラウド連携を検討する際のポイント
- データの保管場所、保管構成を決める
- データの連携方法を決める
- バッチ連携
- クラウド連携の導入における注意点
- セキュリティー対策の徹底
- 保守・運用体制の整備
- トータルコストの把握
- データ保管国の確認
- まとめ
クラウド連携とは
クラウド連携とは、複数のクラウドサービス同士、あるいはクラウドサービスとオンプレミスシステムの間でデータをやり取りし、相互に活用できる状態にすることを指します。
クラウド連携の基本パターン
クラウド連携には、大きく分けて以下の2つのパターンがあります。
オンプレミスとクラウドの連携
社内で運用しているオンプレミスの既存システム(基幹システムや独自開発システム)とクラウドサービスを接続するパターンです。長年運用してきたオンプレミスのシステムを残しつつ、新しいクラウドサービスの機能も活用したい場合に選択されます。
たとえば、社内の販売管理システムのデータをクラウドのBIツール(ビジネスインテリジェンスツール)で可視化したり、オンプレミスの在庫管理システムとクラウドのECサイトを連携させたりするケースが該当します。
オンプレミスとクラウドの違いについてくわしくはこちら
クラウドサービス同士の連携
業務で使用している複数のSaaS間でデータを連携させるパターンです。SalesforceとSlack、kintoneとGoogle Workspaceなどといった連携がこれに該当します。顧客管理システムで更新した情報を自動的にチャットツールに通知したり、複数のSaaSで蓄積されたデータを統合して分析したりする際に活用されます。営業・マーケティング・経理・人事など、部門ごとに異なるツールを使っている場合に必要となる連携です。
なぜいまクラウド連携が求められるのか
クラウド連携のニーズが高まっている背景には、企業のIT環境の変化があります。
DXの進展
多くの企業がDXに取り組むなか、部門単位でSaaSをはじめとするクラウドサービスを導入する動きが加速しています。しかし、各部門が個別最適でツールを導入した結果、データや業務プロセスが分断されるケースも見られます。
たとえば、営業が登録した顧客情報をマーケティング部門が別システムへ再入力するといった二重作業が発生し、かえって非効率を招くこともあります。こうしたサイロ化(情報の孤立)は、全社視点でのデータ活用を阻害し、DXの本来の目的である業務変革を停滞させる要因となります。
オンプレミスとの併用
すべてのシステムを一挙にクラウドへ移行することは、コストや技術的な制約から現実的ではありません。とくに基幹システムや独自開発システムは、長年の業務プロセスに深く組み込まれており、簡単には置き換えられないケースが少なくありません。
このため、オンプレミスシステムを残しつつ、新しいクラウドサービスと組み合わせて使うハイブリッド環境を採用する企業も増えています。このような環境では、既存システムとクラウドサービスを連携させる仕組みが求められています。
マルチクラウド構成における運用の複雑化
複数のクラウドサービスを用途に応じて併用する「マルチクラウド構成」を採用する企業も増えています。この構成では、クラウドごとに異なる仕様・接続方式を考慮する必要があり、データの整合性確保や運用管理の負荷が高くなる傾向にあります。
こうした各クラウド間に点在するデータを同期させ、データの一貫性を確保するための手段として、クラウド連携の重要性が高まっています。
マルチクラウドについてくわしくはこちら
クラウド連携のメリット
クラウド連携を導入することで、以下のようなメリットが期待できます。
業務の効率化
データ連携によって自動的に情報が反映されるため、手作業が減り、入力ミスや転記漏れといったリスクを低減できます。たとえば、営業担当者がSalesforceに入力した商談情報を、経理部門が使う会計システムに手動で転記する必要がなくなります。
また、特定の条件を満たしたときに次のアクションを自動実行する「ワークフロー自動化」も可能になります。受注情報をもとに在庫管理システムへ自動発注したり、顧客対応履歴から次のフォローアップタスクを自動生成したりといった業務フローが構築できます。
データ活用の高度化
複数のシステムに散らばっていたデータを統合することで、より深い分析や意思決定が可能になります。
たとえば、顧客管理システムの商談データ、マーケティングツールのキャンペーン効果、サポートシステムの問い合わせ履歴などを組み合わせれば、顧客の全体像を把握できます。こうしたデータをもとに、より的確な営業戦略やマーケティング施策を立案できるようになります。
全社的な情報共有の強化
部門ごとに異なるツールを使っていても、クラウド連携によって必要な情報をリアルタイムで共有できます。営業部門の最新情報が製造部門にすぐ伝わる、サポート部門の対応履歴が営業担当者にも見える、といった情報連携が実現し、部門間で分断されたデータのサイロ化を防ぐことができます。
クラウド連携を検討する際のポイント
クラウド連携を検討する際に押さえておきたい基本的なポイントを解説します。
データの保管場所、保管構成を決める
クラウド連携を検討する最初のポイントは、業務データの保管場所(格納先)を明確にすることです。データの保管構成は、大きく次の4つのパターンに分類できます。
- すべてをクラウドで保管する
業務データをクラウド環境に集約して保管する構成です。業務システムもクラウドへ移行するケースに加え、オンプレミスのシステムを継続利用しながらデータのみをクラウドに保管するケースもあります。 - すべてをオンプレミスで保管する
業務データをすべてオンプレミス環境で保管する構成です。クラウドサービスを利用する場合でも、データそのものは自社環境に保持し、必要な情報のみをクラウド環境に連携する形を取ります。 - クラウドとオンプレミスで同じデータを保管する
冗長化やバックアップを目的として、クラウドとオンプレミスの両環境に同一データを保管する構成です。可用性の向上や災害対策を重視する場合に選択されます。 - クラウドとオンプレミスで役割分担して保管する
用途やデータの重要度に応じて、クラウドとオンプレミスで役割分担する構成です。たとえば、機密性の高いデータはオンプレミスに保管し、分析用データや共有データはクラウドに保管するなど、目的に応じた使い分けをおこないます。
検討にあたっては、自社のセキュリティーポリシーや業務特性、将来のシステム構想を踏まえ、機密性・運用効率といった優先事項を明確にしたうえで進めるとスムーズでしょう。
データの連携方法を決める
次に、どのような方法でデータを連携するかを検討します。
クラウド連携を実現する方法は複数あり、それぞれリアルタイム性や運用負荷、必要な技術レベルが異なります。
自社の技術力や運用体制、求められるリアルタイム性を整理したうえで、最適な方法を選択することが重要です。以下では、主な連携方法の特徴を解説します。
バッチ連携
決まった時間に一括でデータを転送する方法です。リアルタイム性が求められない、大量のデータを定期的に処理する場合に適しています。システムへの負荷を営業時間外に分散できるメリットがあります。
たとえば、毎日深夜に売上データを集計してデータウェアハウス(DWH:大量のデータを分析用に蓄積するデータベース)に送る、といった用途に使われます。
API連携
クラウドサービスが提供するAPIを使って、プログラムでデータをやり取りする方法です。
リアルタイムでデータ連携が可能で、柔軟なカスタマイズができる点がメリットです。開発や運用には一定の技術力が必要です。自社で開発リソースを持っている場合や、特定の業務要件に細かく対応したい場合に選択されます。
iPaaS(Integration Platform as a Service)
クラウドサービス同士を連携させるための統合プラットフォームです。代表的なサービスとして、Zapier、MuleSoft、Workatoなどがあります。
ノーコードやローコードで設定できるものが多く、専門的なプログラミングなしでも連携フローを構築できる点が特徴です。ただし、利用するサービスの数や処理量に応じてコストが変動する点には注意が必要です。
データ連携ツール(ETL)
おもにデータ分析を目的として、複数のデータソースからデータを抽出(Extract)、変換(Transform)、格納(Load)するツールです。大量データの加工や整形を前提とした分析基盤の構築に適しています。
近年は、ローコードやノーコードでデータ加工フローを構築できる製品も増えており、専門的なプログラミング知識がなくても運用しやすい特徴があります。
クラウド連携の導入における注意点
クラウド連携には多くのメリットがある一方、導入にあたっては以下の点に注意が必要です。
セキュリティー対策の徹底
複数のシステム間でデータをやり取りする以上、セキュリティーリスクは高まります。顧客情報や機密データを扱う場合には、通信の暗号化、アクセス権限の適切な設定、ログの取得といった複合的な対策が不可欠です。
連携先がクラウドサービスの場合は、セキュリティーポリシーやコンプライアンス体制が自社要件に適合しているかも確認しておきましょう。
クラウド環境のセキュリティー対策についてくわしくはこちら
保守・運用体制の整備
クラウド連携を導入したあとも、定期的なメンテナンスが必要です。連携先の仕様変更やアップデートなどにより、連携が正常に動作しなくなる可能性があります。
とくに、複数の連携を同時に運用している場合、どこで問題が発生しているかの切り分けが容易ではありません。障害発生時の対応フローやエラーログの監視体制なども事前に整えておくことが重要です。
トータルコストの把握
クラウド連携にかかるコストは、初期導入コストだけでなく、継続的に発生する運用コストも含めて検討する必要があります。iPaaSの場合、連携数やデータ処理量に応じて料金が変動し、利用規模の拡大とともにコストも増加します。また、API連携を自社開発する場合でも、開発工数や保守にかかる人件費を含めたトータルコストで判断することが求められます。
さらに、データの保管方法によってもコストは大きく変わります。とくに、大量のデータをクラウド環境に保管する場合、ストレージ費用が膨らむ可能性があるため、注意が必要です。データの種類や保管期間、アクセス頻度を整理し、用途に応じてストレージを使い分けることが重要です。たとえば、頻繁に利用する業務データは高速ストレージに、参照頻度の低いログデータは低コストのアーカイブストレージに配置することで、コストと性能のバランスを最適化できます。
クラウドストレージについてくわしくはこちら
データ保管国の確認
クラウド連携では、データの保管国を必ず確認しましょう。保管国によって適用される法規制が異なり、コンプライアンス違反のリスクがあります。
海外のデータセンターを利用する場合、現地法の適用や外国政府機関からのデータ開示請求、越境データ移転規制への対応が必要になる可能性があります。
個人情報保護法やGDPR、業界ガイドラインへの対応が求められる場合は、データ保管場所を国内に限定できるクラウド環境を選択しましょう。取引先との契約条件として国内保管が必須のケースもあるため、事前確認が重要です。
こうした国内法規やデータ主権への対応を重視する考え方として、近年はソブリンクラウド(データ主権を保護するクラウド)にも注目が集まっています。
ソブリンクラウドについてくわしくはこちら
まとめ
クラウド連携は、複数の環境やシステムに分断されたデータをつなぐことで、業務効率化と高度なデータ活用を同時に実現します。
導入にあたっては、単に連携ツールを選定するだけでなく、「データをどこに保管するのか」「どの保管構成を採用するのか」「どの方法で連携するのか」といった設計全体を見通すことが重要です。とくに、データ保管国や法規制への対応、将来的な拡張性を踏まえた判断が求められます。
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