クラウドを導入する6つのメリットとは?デメリットや成功のポイントも解説

公開:最終更新日:

クラウドサービスの導入を検討しているものの、本当にメリットがあるのか、オンプレミス環境から移行するリスクはないか、不安に感じる企業は少なくありません。多くの企業がクラウド化の利点を活用してコスト削減と業務効率化を実現していますが、デメリットも理解したうえで、慎重に検討する必要があります。
本記事では、クラウド導入の具体的な6つのメリットから注意すべきデメリット、導入を成功させるポイントまで、IT責任者が知っておくべき情報を解説します。

この記事でわかること
  • クラウドとは
  • クラウド導入のメリット・デメリット
  • クラウド導入を成功させるポイント
目次
  1. クラウドとは
  2. クラウド導入の6つのメリット
    1. コスト削減
    2. 運用管理負担の軽減
    3. スケーラビリティの向上
    4. 業務の効率化
    5. 迅速な導入
    6. 高度なセキュリティ水準の確保
  3. クラウド導入のデメリット
    1. カスタマイズの制限
    2. 既存システムとの連携
  4. クラウド導入を成功させるポイント
    1. 自社に適したクラウドサービスの選定
    2. 段階的移行によるリスク軽減
    3. 社内体制の整備
  5. まとめ

クラウドとは

クラウドとは、インターネットを通じてコンピューティングリソース(サーバー、ストレージ、データベース、ネットワーク、ソフトウェアなど)を必要なときに必要な分だけ利用できるサービス形態です。クラウドサービスと呼ばれることもあります。

従来のオンプレミス環境とは異なり、自社でサーバーやシステムを保有・運用する必要がなく、クラウドサービス事業者が提供するインフラやアプリケーションを活用できます。

クラウドサービスやオンプレミスとの違いについて詳しくは以下の記事をご覧ください。

クラウドサービスの種類としては、一般向けの「パブリッククラウド」、特定組織専用の「プライベートクラウド」、両者を組み合わせた「ハイブリッドクラウド」の3つに分類されます。

クラウドサービスの種類について詳しくは以下の記事をご覧ください。

クラウド導入の6つのメリット

クラウドを導入することにより、さまざまなメリットが得られます。ここでは、とくに重要な6つのメリットを紹介します。

コスト削減

従来のオンプレミス環境では、高額な初期投資が必要でした。一方、クラウドの場合、初期費用を大幅に抑えて利用開始できます。また、従量課金制により使った分だけの支払いとなるため、無駄なリソースへの支払いを避けることができます。とくに中小企業にとっては、大企業と同等のITインフラを低コストで利用できる点が大きなメリットです。

運用管理負担の軽減

クラウドサービスでは、煩雑なシステム運用業務の多くをサービス事業者が代行するため、自社の運用負担が大幅に軽減されます。システム監視やセキュリティ対策、バックアップ管理、ソフトウェア更新、障害対応などを専門チームが対応します。これにより、IT部門は戦略的な業務により多くの時間を割くことができるでしょう。

クラウドバックアップについて詳しくは以下の記事をご覧ください。

スケーラビリティの向上

ビジネスの成長や変化に応じて、システムリソースを柔軟に拡張・縮小できます。需要に応じて短時間でサーバー台数やスペックを調整できるため、繁忙期は拡張、閑散期は縮小することでコスト最適化が可能です。オンプレミス環境では、サーバー増設に長期間かかることも珍しくありませんが、クラウドなら管理画面での操作だけで即座に対応できます。

業務の効率化

クラウドサービスは、インターネット環境があればどこからでもアクセス可能です。複数人での同時編集や情報共有の迅速化、定型業務の自動化による作業時間の短縮が実現できます。とくに、コロナ禍以降、場所や時間に縛られない柔軟な働き方を実現する基盤として、クラウドの重要性がますます高まっています。営業担当者が外出先で顧客情報にアクセスしたり、在宅勤務者が社内システムを利用したりすることが、安全かつ簡単におこなえます。

迅速な導入

クラウドサービスは、導入までの時間が圧倒的に短いのもメリットです。オンプレミス環境の構築には長期間を要しますが、クラウドならアカウント作成後、短時間で利用を開始できます。この迅速性により、新規事業の立ち上げ、システムの緊急増強、災害時の代替環境構築などに素早く対応できます。

高度なセキュリティ水準の確保

大手クラウド事業者のセキュリティ水準は非常に高く、自社で構築するよりも優れたセキュリティ環境を利用できます。セキュリティ専門家による監視、最新技術を活用した防御システム、国際的なセキュリティ認証の取得、大規模なセキュリティ投資など、個別企業では実現困難な高度なセキュリティ環境が提供されます。

クラウドの高度なセキュリティについて詳しくは以下の記事をご覧ください。

クラウド導入のデメリット

クラウド導入には多くのメリットがある一方で、次のようなデメリットもあります。

カスタマイズの制限

クラウドサービスは標準化されているため、オンプレミス環境と比較してカスタマイズに制限があります。ハードウェア仕様の詳細な指定、独自のOSカスタマイズ、特殊なミドルウェアの利用、細かなネットワーク設定などが制限される場合があります。とくに、製造業や金融業など、業界固有の要件や厳格な規制がある業界では、標準的なクラウドサービスでは要件を満たせない場合があります。

既存システムとの連携

長年運用してきた既存システムとクラウドサービスとの連携において、技術的な課題が生じる可能性があります。古いシステムと新しいクラウドサービス間の通信方式の不一致、既存データベースとの複雑なデータ移行、セキュリティ認証方式の統合困難さ、ネットワーク経由での処理による速度低下などが課題となります。これらの課題を解決するためには、追加の開発コストや移行期間が必要となる場合があります。

クラウド導入を成功させるポイント

クラウドのメリット・デメリットを正しく理解したうえで、ここではクラウド導入を成功させるポイントを紹介します。

自社に適したクラウドサービスの選定

自社の要件に最適なクラウドサービスを選定することが重要です。

まず、現在の業務プロセスと将来の拡張計画を明確化しましょう。そのうえで、業界規制や社内ポリシーとの適合性、3~5年間の総所有コスト(TCO)、日本語対応や技術支援といったサポート体制などを総合的に評価する必要があります。国産クラウドか外資系クラウドかという観点も重要な判断材料のひとつです。複数のクラウド事業者を比較検討し、実際にトライアルを実施して使い勝手を確認することをおすすめします。

国産クラウドについて詳しくは以下の記事をご覧ください。

段階的移行によるリスク軽減

すべてのシステムをクラウドに移行するのではなく、段階的に進めることで、リスクを最小化できます。影響の少ない業務から小規模で開始し、初期導入の結果を評価して問題点を改善したあと、成功事例を基に徐々に適用範囲を拡大していくことが重要です。この方法により、組織内でのクラウド活用スキルを段階的に向上させながら、安全に移行を進めることができます。

クラウド移行について詳しくは以下の記事をご覧ください。

社内体制の整備

技術面だけでなく、人的な体制整備も重要です。経営層、IT部門、業務部門の連携体制を構築し、ユーザー向けの操作研修とセキュリティ教育を実施する必要があります。また、クラウド利用に関するガイドラインとポリシーの策定、社内でのヘルプデスク機能の確立も重要です。全社員がクラウドの適切な利用方法を理解している状態を作りましょう。

まとめ

クラウド導入は、コスト削減や運用負担の軽減など多くの利点をもたらしますが、一方で、カスタマイズ制限や既存システムとの連携といった課題にも注意が必要です。これらを踏まえ、自社に適した対応を検討することが重要です。

さくらのクラウドは、柔軟なカスタマイズ性と既存システムとの高い連携性を兼ね備えた、安心・安全なクラウドサービスです。充実したサポート体制により、導入から運用まで安心してご利用いただけます。クラウド導入をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

➡︎ クラウドサーバーはさくらのクラウド

さくらのクラウドチーム
制作者

さくらのクラウドチーム

コラムでは、さくらのクラウドに関連するビジネス向けの内容や、ITインフラ技術の説明などを掲載しています。