ファイルサーバーのクラウド化とは?2つの方法やメリット・注意点を解説

近年のビジネス環境の変化を背景に、ファイルサーバーのクラウド化が進んでいます。本記事では、クラウド化の仕組みやメリット・注意点を整理し、導入時に確認すべき比較ポイントをわかりやすく解説します。
- ファイルサーバーのクラウド化とは
- オンプレミス型ファイルサーバーとの違い
- ファイルサーバーをクラウド化する2つの方法
- ファイルサーバーをクラウド化するメリットと注意点
- ファイルサーバーのクラウド化を円滑に進めるポイント
- ファイルサーバーのクラウド化とは
- オンプレミス型ファイルサーバーとの違い
- ファイルサーバーのクラウド化が注目される理由
- ファイルサーバーをクラウド化する2つの方法
- オンラインストレージの活用(SaaS型)
- クラウドインフラ上での構築(IaaS型)
- ファイルサーバーをクラウド化するメリット
- テレワークの円滑化
- スケーラビリティの確保
- コストの最適化
- 災害対策の強化
- 運用管理負担の軽減
- ファイルサーバーをクラウド化する際の注意点
- 通信環境への依存
- カスタマイズの制限
- セキュリティ要件との不整合
- ファイルサーバーのクラウド化を円滑に進めるポイント
- 導入形態の見極め
- 段階的な移行計画の策定
- 社内体制の整備
- 移行後のモニタリング・改善
- まとめ
ファイルサーバーのクラウド化とは
ファイルサーバーのクラウド化とは、これまで自社で運用していたサーバーをクラウド環境に移行し、インターネット経由でファイルを管理・共有できるようにすることです。
クラウド化によって構築されたクラウド型ファイルサーバーは、社内外から安全にアクセスでき、運用負荷の軽減や柔軟な拡張が可能です。
オンプレミス型ファイルサーバーとの違い
オンプレミス型ファイルサーバーは、自社でサーバー機器を購入し、社内ネットワーク内で運用する方式です。導入時に大きな初期投資が必要で、設置スペースや専門管理者の確保も求められます。
一方、クラウド型ファイルサーバーはクラウド事業者が提供するサービスやインフラを利用するため、初期投資を抑えて導入できます。また、外部アクセスを前提に設計されているため、テレワーク環境でも安全かつ快適に利用可能です。
オンプレミスとの違いについて詳しくはこちら
ファイルサーバーのクラウド化が注目される理由
働き方改革やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進により、場所を問わず安全に業務を行える環境づくりが求められるようになりました。
また、大規模地震や台風などの自然災害リスクに備え、地理的に分散されたデータセンターや自動バックアップ機能によるデータ保護の重要性も高まっています。
こうした背景から、高いアクセス性と安全性を確保する手段として、ファイルサーバーをクラウド化する動きに関心が寄せられています。
なお、近年ではファイルサーバーに限らず、基幹システムのクラウド化も進んでおり、業務全体のクラウドシフトが加速しています。
基幹システムをクラウド化するメリット・デメリットは?検討の注意点を解説
ファイルサーバーをクラウド化する2つの方法
ファイルサーバーをクラウド化するには、次の2つの方法があります。
オンラインストレージの活用(SaaS型)
ファイル共有に特化したクラウドサービスを利用する方法です。代表的なサービスとして、Google Drive、Microsoft OneDrive、Box などがあります。
サービス提供事業者が運用を担うため、短期間で導入でき、IT専門知識がなくても利用しやすいのが特徴です。また、テレワークや外部とのファイル共有用途で既存のオンプレミス環境と併用することも可能です。
小規模から導入し、効果を確認しながら段階的に利用範囲を拡大できる点も大きなメリットといえます。
クラウドインフラ上での構築(IaaS型)
IaaS(イアース)を活用し、クラウド事業者が提供するインフラ基盤上に自社でファイルサーバーを構築する方法です。代表的な例として、さくらのクラウド、AWS、Microsoft Azureなどがあります。既存のサーバー環境をクラウド上に再現できるため、現在の運用方法や設定を維持しながら移行可能です。
ただし、サーバーの構築や運用は自社で担当する必要があるため、技術者の確保と運用体制の整備が前提となります。
SaaS、IaaSについて詳しくはこちら
ファイルサーバーをクラウド化するメリット
ファイルサーバーをクラウド化することにより、オンプレミス環境では実現が難しい次のようなメリットを得られます。
テレワークの円滑化
クラウド上にファイルを保管することで、インターネット環境さえあれば場所を問わずアクセスが可能になります。自宅や出張先からでも社内と同じ環境で作業できるため、テレワークやハイブリッドワークを推進する企業にとって有効な仕組みといえます。
スケーラビリティの確保
クラウド型ファイルサーバーは、利用状況に応じてストレージ容量やユーザー数を柔軟に調整できます。ハードウェアの購入や設置が不要なため、事業の成長やプロジェクトの増減にも迅速に対応可能です。
スケーラビリティについて詳しくはこちら
コストの最適化
クラウド型ファイルサーバーの大きな特徴は、利用状況に応じて柔軟にコストを調整できる点です。
SaaS型では、ユーザー数やストレージ容量に応じた月額課金制が一般的で、必要な分だけ手軽に利用できます。一方、IaaS型では、リソース使用量に応じて課金されるため、システム規模に合わせたコスト管理が可能です。
どちらの方式でも、高額なサーバー購入費用や保守コストが不要なため、初期投資を抑えて運用コストを平準化できます。
災害対策の強化
多くのクラウドサービスでは、自動バックアップ機能が標準で提供されています。地理的に離れた複数のデータセンターにデータを分散保存することも可能です。地震や火災などの災害発生時にもデータを保護でき、事業継続計画(BCP)対策として有効です。
バックアップ機能について詳しくはこちら
運用管理負担の軽減
クラウド環境では、サーバーのメンテナンスやセキュリティパッチの適用、ハードウェアの監視といった日常的な運用業務はクラウド事業者が代行します。そのため、自社での管理負担を大幅に軽減できます。
これにより、IT担当者はより付加価値の高い業務や戦略的なIT活用に注力できます。
クラウドを導入するメリットについて詳しくはこちら
ファイルサーバーをクラウド化する際の注意点
ファイルサーバーのクラウド化には多くのメリットがありますが、導入時には注意点もあります。
通信環境への依存
クラウド型ファイルサーバーは、インターネット経由でのアクセスを前提としています。
そのため、回線速度が遅い場合や通信障害が発生した場合には、ファイルへのアクセスが困難になり、業務停止のリスクがあります。
安定した回線と十分な帯域の確保に加え、重要業務では回線の冗長化も検討することが重要です。
カスタマイズの制限
クラウドサービスは、提供範囲や設定項目に一定の制約を設けています。
SaaS型では、サービス事業者が用意した機能を利用する形式のため、独自開発や仕様変更が難しい場合があります。また、IaaS型でもインフラ基盤の仕様に準じる必要があるため、オンプレミス型のような自由度はありません。
導入前に自社の必須要件を整理し、サービスの提供範囲内で実現可能かを確認しておきましょう。
セキュリティ要件との不整合
自社のセキュリティポリシーやコンプライアンス要件に適合しない場合があります。とくに、機密性の高いデータを扱う、または業界特有の規制があるケースなどでは、データの保存場所や管理方法に制約が生じる可能性があるため注意が必要です。
導入前に、自社のセキュリティポリシーや業界規制との整合性を確認し、必要に応じてオンプレミス環境との併用も検討しましょう。
クラウド移行の課題とその対策について詳しくはこちら
ファイルサーバーのクラウド化を円滑に進めるポイント
ファイルサーバーのクラウド化を成功させるには、計画的な取り組みが求められます。単にデータを移行するだけではなく、導入前から移行後に至るまでの長期的な視点を持つことが重要です。
ここでは、クラウド化を円滑に進めるために押さえておきたい主なポイントを紹介します。
導入形態の見極め
まずは、自社に適した導入形態の見極めが重要です。SaaS型かIaaS型かによって、導入後の管理運用体制や自由度は大きく異なるためです。
また、機密性の高い情報や社内ネットワークとの連携が前提となる業務では、オンプレミス環境を一部残すハイブリッド構成が適している場合もあります。
自社の業務特性やセキュリティ要件を踏まえ、クラウドとオンプレミスの適切な使い分けを検討しましょう。
ハイブリッドクラウドについて詳しくはこちら
段階的な移行計画の策定
全データを一度に移行するよりも、部署単位・システム単位などで段階的に進めるほうが安全です。まずは一部データで試験的に移行し、機能や操作性、パフォーマンスを確認したうえで本番移行に進み、想定外のトラブルを防ぎます。
移行スケジュールは関係部署と共有し、役割を明確にしておくことも重要です。あわせて、バックアップ体制を確保し、万が一のデータ破損や通信障害にも備えましょう。
社内体制の整備
クラウド型ファイルサーバーを安定的に運用するには、明確な運用体制の整備が欠かせません。運用責任者や管理担当者を定め、トラブル発生時の対応フローをあらかじめ設計しましょう。
導入初期は、操作方法の問い合わせやアクセス権限の調整など、細かな対応が発生しやすい時期です。サポート窓口や対応ルールを明確にしておき、利用者の不安を軽減してスムーズな定着につなげます。
移行後のモニタリング・改善
利用状況や業務環境は日々変化するため、継続的な見直しと最適化が欠かせません。
定期的に利用状況をモニタリングし、アクセス頻度やストレージ使用量を把握しましょう。
その結果をもとに、不要なデータの整理やアクセス権限の見直しを行い、セキュリティリスクを抑えつつ運用コストの最適化を図ります。
バックアップ設定やセキュリティポリシーについても定期的に確認し、技術環境や業務内容の変化に応じて柔軟に更新することが重要です。
クラウドへの移行の詳しい手順について詳しくはこちら
まとめ
ファイルサーバーをクラウド化することで、場所を問わず安全にアクセスできる柔軟な業務環境を実現できます。一方で、導入にあたっては、通信環境への依存やカスタマイズの制限といった点に注意しましょう。
クラウド化を成功させるには、自社に合った導入形態を選び、段階的に移行を進めることが重要です。導入後も運用体制の整備と定期的な見直しを継続することで、安全かつ効率的なファイル運用を実現できます。
さくらのクラウドは、IaaS型クラウドインフラを提供しており、クラウド上に既存のファイルサーバー環境を柔軟に構築可能です。
また、国内のデータセンターで運用されるため、データの保存場所や法規制対応を重視する企業にとっても安心できる選択肢となります。
ファイルサーバーのクラウド化をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。



