VMwareの代替製品とは?仮想化基盤の選択肢と比較ポイントを解説

VMwareのライセンス体系変更で、代替基盤への移行を検討する企業が増えています。代替製品として利用可能な基盤には、複数の選択肢があります。本記事では、おもな代替製品の特徴と、自社に最適な基盤を選ぶための比較ポイントを解説します。
- VMWareの代替基盤が注目される背景
- VMWareの代替基盤となる選択肢
- VMWare代替基盤の選定時に押さえておきたいポイント
- なぜVMwareの代替基盤が注目されているのか
- VMwareの代替先となるおもな仮想化基盤- KVM(オープンソース基盤)
- Microsoft Hyper-V(商用)
- Nutanix AHV(商用)
 
- VMware代替基盤の選定時の比較ポイント- 総所有コスト(TCO)
- 既存システムとの互換性
- 移行のしやすさ
- 管理・運用のしやすさ
- セキュリティ・コンプライアンス要件
- サポート体制
 
- まとめ
近年、仮想化基盤の分野で大きな変化が起きています。長年スタンダードとされてきたVMwareは、ブロードコム社(Broadcom Inc.))による買収を機にライセンス体系が大きく変更され、永続ライセンスの廃止やコスト増加が多くの企業に影響を与えています。その結果、長期的なIT戦略やコスト最適化を見直すなかで、VMwareに代わる仮想化基盤を検討する企業が増えています。
本記事では、代表的な代替製品の特徴を整理するとともに、基盤を選ぶための比較ポイントをわかりやすく解説します。
なぜVMwareの代替基盤が注目されているのか
VMwareは仮想化技術の分野で長年トップシェアを誇り、多くの企業がその製品を基盤として活用してきました。1台の物理サーバー上で複数の仮想マシンを動かすハイパーバイザーは、同社の代表的な製品です。
仮想マシンやハイパーバイザーについて詳しくはこちら
しかし、2023年のブロードコム社(Broadcom Inc.)によるVMwareの買収を機に、製品の提供・ライセンス体系に大きな変化が生じました。2024年以降は製品の永続ライセンスが廃止され、完全なサブスクリプション制に移行しました。
企業にはコスト増加を受け入れてVMwareを継続利用する選択肢もありますが、とくに大規模環境を抱える企業ではコストの大幅な増加が避けられません。そのため、長期的なIT戦略やコスト最適化の観点から、多くの企業が代替基盤への移行について検討を活発化させています。
VMwareの代替先となるおもな仮想化基盤
VMwareと代替可能な仮想化基盤には、次のような選択肢があります。
KVM(オープンソース基盤)
KVM(Kernel-based Virtual Machine)は、Linuxカーネルに組み込まれたオープンソースのハイパーバイザーです。ライセンス費用が無料な点が最大の特徴です。カスタマイズの自由度が高い反面、管理ツールが限定的で、運用には高度な技術スキルが必要になります。技術力が豊富で、オープンソース環境での運用に慣れた組織に適している選択肢といえます。
参考:KVM
KVMについて詳しくはこちら
Microsoft Hyper-V(商用)
マイクロソフト社が提供するハイパーバイザーで、Windows Serverの機能として組み込まれています。Microsoft製品との親和性の高さや既存のWindowsスキルを活用できる点が特徴です。Linux環境では一部の高度な機能に制約があるため、Linux環境を主力とする企業では、導入前に注意が必要です。
参考: Hyper-V documentation | Microsoft Learn
Nutanix AHV(商用)
Nutanix AHVは、Nutanix社のハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)に標準搭載されているハイパーバイザーです。HCIとは、サーバー、ストレージ、ネットワークをソフトウェアで統合し、複雑な運用を簡素化できる基盤です。追加ライセンス費用が不要で運用管理が容易である一方、Nutanix製品全体への依存が生じるため、長期的なIT戦略を慎重に検討する必要があります。
参考:Nutanix AHV ハイパーバイザー | 企業向け高性能仮想化ソリューション | Nutanix
VMware代替基盤の選定時の比較ポイント
VMwareの代替基盤を選ぶ際は、単なる機能面の比較にとどまらず、複数のポイントから総合的に評価することが求められます。
総所有コスト(TCO)
代替基盤の選定でもっとも重視されるポイントです。運用全体にかかる総所有コスト(TCO)で評価します。おもな費用には、次のようなものがあります。
- 初期費用 
 ライセンス料、ハードウェア購入費用、導入・構築費用など
- ランニングコスト
 保守・サポート契約費用、運用人件費(管理工数・トレーニングコスト)、電力・データセンター費用、移行期間中の並行運用費用など
運用人件費は見落とされがちな項目です。新しい仮想化基盤に移行すると、管理ツールや運用手順の習得が必要になり、その難易度によって人件費が大きく変動します。自社のエンジニアが対応可能か、それとも外部ベンダーに依存するのかを踏まえて、現実的なコスト試算をおこなうことが大切です。
既存システムとの互換性
既存の仮想マシンやアプリケーションがそのまま動作するかの確認は欠かせません。現在稼働している仮想マシンやアプリケーションをそのまま移行できるかどうかで、移行プロジェクトの工数やコストは大きく変わります。
移行のしやすさ
互換性があるからといって、移行が簡単とは限りません。仮想マシンの変換作業やデータ移行には工数や専門知識が必要になるケースがあります。そのため、ベンダーが提供する移行ツールやサービスの有無を確認しておくことが重要です。ベンダーのサービスを活用すれば、作業効率を高めるだけでなく、システム停止やデータ損失といったリスクを抑えて移行を進めることが可能です。
管理・運用のしやすさ
日常的な運用のしやすさも重要な比較ポイントです。管理コンソールやダッシュボードの操作性、監視・バックアップ機能の充実度、自動化やスクリプト対応の柔軟性などを確認するとよいでしょう。こうした要素は日常運用の効率だけでなく、障害対応のスピードやシステムの安定稼働にも直結します。
一方、設定や運用に専門知識が必要な基盤では、外部ベンダーへの依存度が高まりTCO増加につながる可能性もあるため、注意が必要です。
セキュリティ・コンプライアンス要件
情報セキュリティポリシーや業界規制への準拠は必須の要件です。取得済みの国際認証や搭載するセキュリティ機能は製品によって異なるため、自社要件と照らし合わせて確認する必要があります。
また、金融・医療・官公庁といった規制業界では、監督機関や業界団体から求められる認証やコンプライアンス要件を満たしているかを、事前に確認する必要があります。これを怠ると、監査不適合や導入後の追加コスト発生につながりかねません。
サポート体制
技術的な問題が発生した際のサポート体制は、製品によって大きく異なります。商用製品であれば専門技術者による迅速な対応が期待できますが、オープンソース製品ではコミュニティサポートが中心となり、自社に十分な技術力があるかが判断材料となります。
また、日本語での対応可否や日本のタイムゾーンに合わせたサポート、オンサイト対応の有無といった要素も比較のポイントです。自社のシステム要件や稼働条件に合ったサポート体制が整っているかを確認しましょう。
まとめ
VMwareの代替先には複数の選択肢があります。選定の際は総所有コストや既存システムとの互換性など複数の点から比較検討が必要です。
なお、VMware代替先の選定をきっかけに、IT基盤を根本から見直したい場合は、パブリッククラウドへの移行も選択肢となるでしょう。
さくらのクラウドは、国内拠点で安定したサービスを提供するクラウドサービスとして、VMwareからの移行を検討している企業にとって信頼性の高い選択肢の1つです。VMware環境を対象とした移行ツールと専門チームによる支援を組み合わせた「マイグレーションサービス」を提供しており、効率的かつ安心感のある移行が可能です。
VMwareからの移行でお悩みの場合は、ぜひお気軽にご相談ください。
 
		 
		 
		 
				