ローカルブレイクアウトとは?注目される背景や導入のメリット・注意点を解説

テレワークの普及やクラウドサービスの利用拡大により、組織のネットワークのあり方が大きく変化しています。従来の本社を中心とする中央集約型ネットワークでは、トラフィック集中による遅延や帯域不足が深刻な課題となっており、ネットワーク構成の見直しを進める企業は少なくありません。
こうした課題を解決する手法として知られているのが、企業の各拠点から直接インターネットに接続する「ローカルブレイクアウト」です。
本記事では、ローカルブレイクアウトの基本から注目される背景、導入メリット、注意点までくわしく解説します。
- ローカルブレイクアウトとは
- ローカルブレイクアウトが注目される背景
- ローカルブレイクアウトのメリットと注意点
- ローカルブレイクアウトとは
- 従来のネットワークとの違い
- ローカルブレイクアウトが注目される背景
- ローカルブレイクアウトの3つのメリット
- 1. 通信遅延の軽減
- 2. 通信回線コストの抑制
- 3. クラウドサービス利用時のパフォーマンス向上
- ローカルブレイクアウト導入時の注意点
- 各拠点でのセキュリティー対策の徹底
- ネットワークの可視化
- アプリケーション特性を考慮
- 段階的な導入
- まとめ
ローカルブレイクアウトとは
ローカルブレイクアウト(Local Breakout、LBO)とは、企業の各拠点から、本社のデータセンター(以下、本社)を経由せず、直接インターネットやクラウドサービスに接続する通信方式です。トラフィックを本社に集中させない方式として知られています。
一方で、各拠点が直接インターネットへ接続する構成となるため、従来のように本社で通信やセキュリティーを一元管理する考え方だけでは対応しきれない場面も出てきます。そのため、拠点ごとに分散した通信環境を前提として、従来とは異なる設計や運用の考え方が求められています。
2024年10月に総務省が「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」を改定し、ローカルブレイクアウトが自治体ネットワーク構成の選択肢として明記されました。これにより、自治体でも公式に認められた通信方式として位置づけられています。
参考:地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン(令和7年3月版)|総務省 [PDF]
従来のネットワークとの違い
従来は、各拠点のインターネット通信を本社に集約して一元管理することが一般的でした。しかし、クラウドサービス利用が増えると、インターネット上のサービスにアクセスするために本社を経由する迂回ルートが発生し、データセンターに通信が集中して遅延や混雑が発生しやすくなります。
ローカルブレイクアウトでは、各拠点から直接インターネットやクラウドサービスへ接続するため、本社を経由する不要なトラフィックを削減できます。そのため、本社回線の負荷を軽減し、通信速度の改善が期待できます。
従来のネットワーク構成とのおもな違い
| 項目 | 従来型のネットワーク | ローカルブレイクアウト |
|---|---|---|
| 通信経路 | 本社データセンター経由 | 各拠点から直接接続 |
| 本社回線の負荷 | 高い | 低い |
| 通信の遅延 | 発生しやすい | 少ない |
| セキュリティー対策 | 本社で一元管理 | 各拠点で統一的に実施 |
ローカルブレイクアウトが注目される背景
近年、組織のネットワーク環境は大きく変化しており、次のような背景から、ローカルブレイクアウトが注目されるようになりました。
クラウドサービスの利用拡大
業務アプリケーションのクラウド移行が加速し、インターネット向けトラフィックが急増しています。
テレワークの定着
在宅勤務やサテライトオフィスなど、従業員の働く場所が多様化しています。従来のオフィス中心のネットワーク設計では、分散した拠点からの通信を効率的に処理できなくなっています。
トラフィック量の増加
ビデオ会議、大容量ファイル共有、オンラインストレージの同期など、大容量通信を伴う業務が一般的になりつつあります。
こうした変化により、本社経由のすべての通信を処理する従来型ネットワークでは限界が生じ、ローカルブレイクアウトへの移行を検討するケースが見られるようになりました。
ローカルブレイクアウトの3つのメリット
ローカルブレイクアウトを導入することで、以下のようなメリットが得られます。
1. 通信遅延の軽減
本社経由の迂回ルートが不要になるため、クラウドサービスへの応答速度が向上します。アプリケーションが遅延することなく快適に利用できることで、円滑に業務を進められます。とくに、本社と地理的に離れた拠点では、通信遅延の軽減効果がより顕著にあらわれやすいでしょう。
2. 通信回線コストの抑制
各拠点から直接インターネットに接続するため、データセンターへのトラフィック集中を回避できます。本社回線の帯域増強や通信コストを抑えやすくなります。
3. クラウドサービス利用時のパフォーマンス向上
ビジネスチャット、メール、オンラインストレージ、ビデオ会議など、日常的に使うクラウドサービスのパフォーマンスが改善します。ネットワーク機器や回線の利用帯域が軽減されることで、安定した通信環境を確保しやすくなり、生産性向上につながります。
ローカルブレイクアウト導入時の注意点
ローカルブレイクアウトを導入する際には、以下の点に注意が必要です。
各拠点でのセキュリティー対策の徹底
従来は本社で一元管理していたセキュリティー対策を、各拠点で実施する必要があります。ファイアウォール、プロクシーフィルタリングなどを各拠点に配置し、統一されたセキュリティーポリシーを適用することが重要です。
分散環境でも一貫したセキュリティーレベルを維持するためには、次のようなクラウド型セキュリティーサービスの活用が有効です。
- CASB(Cloud Access Security Broker):クラウドサービスの利用状況を可視化し、アクセス制御をおこなう
- SWG(Secure Web Gateway):Web通信を監視・制御し、不正アクセスやマルウェアを防止する
ネットワークの可視化
拠点ごとに直接インターネット接続すると、トラフィックの全体像が見えにくくなります。統合監視ツールを導入し、全拠点のトラフィック・帯域使用率・遅延などを一元的に可視化する必要があります。異常な通信パターンを早期に検知できる仕組みを整備し、セキュリティー事故を防ぐことが重要です。
アプリケーション特性を考慮
すべての通信を一律に直接インターネットへ接続するのではなく、アプリケーションの特性に応じて通信経路を使い分けることが重要です。
一般的なクラウドサービスやWebアクセスは直接接続することで遅延を抑えられます。一方で、基幹システムや機密情報を扱うアプリケーションのように、高いセキュリティーが求められる通信については、中央拠点を経由するほうが適している場合もあります。
こうした通信経路の振り分けは、SD-WANを活用することで対応できます。アプリケーションごとに最適な経路を自動的に選択できるため、運用の効率化につながります。
段階的な導入
ローカルブレイクアウトでは、すべての拠点で一度に導入するのではなく、段階的に進めることを検討します。
通信経路の変更は、設定ミスや予期せぬアプリケーション動作などを発生させるおそれがあります。たとえば、まずは1拠点、特定のクラウドサービスを対象に試験運用をおこない、問題がないことを確認しながら段階的に対象を広げていくとよいでしょう。とくにトラフィック量が多いクラウドサービスを優先して対象にすると、本社回線の負荷軽減効果を得やすくなります。
まとめ
クラウドサービスの利用拡大やテレワークの定着によってネットワーク環境が変化するなか、ローカルブレイクアウトは有効な選択肢のひとつです。
ローカルブレイクアウトを導入する際は、セキュリティー対策の分散管理やネットワーク可視化など、適切な設計と運用が不可欠です。自社の業務要件やセキュリティーポリシーを踏まえ、問題がないか確認しながら段階的に導入を進めることをおすすめします。
さくらのクラウドでは、ローカルブレイクアウトの導入をはじめ、企業の課題に合わせた最適なネットワーク構成をご提案いたします。ネットワークの最適化やクラウド環境の構築にお悩みの場合は、ぜひお気軽にご相談ください。

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